「収納が足りないけれど、賃貸だから壁に穴を開けられない」
——これは賃貸住まいの定番の悩みです。
ただ、実際には壁を傷つけずに棚を作る方法はいくつもあり、退去時の原状回復を気にせずに収納を増やすことができます。
この記事では、原状回復のルールを整理したうえで、賃貸でも実践できる棚づくりの方法を4つ紹介します。
まず確認:賃貸で「開けていい穴」はどこまで?
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、画鋲やピンでポスター・カレンダーを掲示することは通常の使用の範囲とされており、それによってできた穴は通常損耗として扱われます。
つまり、細いピン程度の穴であれば、原則として借主の負担にはなりません。
一方で、釘やネジの穴は扱いが異なります。
穴が大きく目立つうえ、壁の下地ボードまで傷つける可能性があるため、修繕費が借主負担になるのが一般的です。
ただし注意点が2つあります。
ひとつは、画鋲であっても同じ場所に何度も刺したり、重いものを掛けて穴が広がったりした場合は請求対象になり得ること。
もうひとつは、契約書の特約で画鋲の使用そのものが禁止されている物件があることです。
作業の前に、必ず賃貸借契約書を確認しておいてください。
方法1:2×4材+ラブリコ・ディアウォール(強度重視)
もっとも自由度が高いのがこの方法です。
ホームセンターで手に入る2×4材の上下に専用のアジャスターを取り付け、床と天井で突っ張って柱を立てます。
壁にはいっさい穴を開けずに、その柱に棚板を渡していく仕組みです。
大型の棚や壁面収納、テレビの壁掛けまで対応できる強度があり、取り外せば元の状態に戻せます。
木材は購入時にホームセンターでカットしてもらえるので、電動工具がなくても組み立てられます。
注意点は、天井の強度です。
天井が薄い素材だったり、点検口の近くだったりすると突っ張りの力に耐えられないことがあります。
設置場所を選ぶ際は、天井を軽く押してたわみがないか確認しておくと安心です。
方法2:突っ張り棒・突っ張り棚(手軽さ重視)
軽いものを置くだけなら、突っ張り棒や突っ張り棚が最も手軽です。
100円ショップでも手に入り、木工用ボンドで木材をコの字型に組み合わせれば、簡単な棚として使えます。
穴あけが不要で、女性ひとりでも設置できる手軽さが利点です。
一方で耐荷重は低いので、本や食器のような重いものには向きません。
表示されている耐荷重は必ず確認し、余裕をもった使い方をしてください。
方法3:石膏ボード用の細ピンフック(見た目重視)
壁に直接、小さな飾り棚を付けたい場合は、石膏ボード専用の細いピンで固定するタイプのフックが使えます。
ホチキスの針を使って留めるタイプもあり、いずれも穴が非常に細いため、取り外したあとの跡が目立ちにくいのが特徴です。
ただし、これらの製品にも耐荷重の上限があります。
パッケージに記載された数値を超える重さのものは絶対に載せないでください。
落下すると壁も床も傷めることになり、かえって原状回復の負担が大きくなります。
方法4:既存の枠や設備を活用する
意外と見落とされがちですが、既存の設備を活用する方法もあります。
窓枠やカーテンレール、幅木(壁の下部にある木の部分)、クローゼットの枕棒などは、市販のフックやラックを引っ掛けるだけで収納スペースになります。
穴を開ける必要がまったくないので、DIYに不安がある人はここから試すのがおすすめです。
ただしカーテンレールは重量を支える設計ではないので、軽いものだけにとどめてください。
失敗しないためのチェックリスト
作業を始める前に、次の4点を確認しておきましょう。
- 賃貸借契約書に、壁への固定を制限する特約がないか
- 使う製品の耐荷重と、実際に載せたいものの重さが見合っているか
- 地震で倒れたときに危険な場所(寝る場所の頭上、出入口付近)を避けているか
- 突っ張り式の場合、天井側に十分な強度があるか
まとめ
賃貸でも、突っ張り式の柱・突っ張り棚・石膏ボード用ピン・既存設備の活用という4つの方法を使い分ければ、壁を傷つけずに収納を増やせます。
強度が必要なら2×4材とアジャスター、手軽さ優先なら突っ張り棚、というように、置きたいものの重さから逆算して選ぶのが失敗しないコツです。
よくある質問
ディアウォールとラブリコはどちらがいいですか?
どちらも床と天井で突っ張る同じ仕組みですが、ディアウォールはバネの力で固定し、ラブリコはネジを回して固定します。
設置後に微調整しやすいのはラブリコ、取り付けが簡単なのはディアウォールという違いがあります。
設置する場所の天井高に合わせて、対応する木材の長さを確認してから選んでください。
退去時に画鋲の穴を自分で補修したほうがいいですか?
ガイドライン上は通常損耗とされる範囲であれば、無理に補修する必要はありません。
かえって補修跡が目立ってしまうこともあります。
気になる場合は、退去時の立ち会いで確認するのが確実です。