賃貸の部屋でネズミの気配がしたとき、まず気になるのは「これは大家さんに直してもらえるのか、自分で何とかするしかないのか」という点だと思います。
意外に思われるかもしれませんが、法律上の原則では、入居後に発生したネズミの駆除費用は入居者の負担とされています。
ただし例外もあり、状況によって判断が変わります。
この記事では、その分かれ目と、実際にとるべき行動を整理しました。
原則:入居後の発生は入居者負担
民法では、貸主は建物を使用できる状態に保つ修繕義務を負っています(民法606条)。
ただし、入居後に外からネズミが侵入してきたケースについては、貸主の管理が及ばない範囲の出来事と解釈されるのが一般的です。
2009年の東京地裁の判断でも、入居後に侵入したネズミは貸主の支配領域外の事象とされています。
「賃貸だから当然大家さんが対応してくれる」と考えていると、話がかみ合わないことがあるのはこのためです。
例外:貸主の負担になるケース
一方で、次のような場合は貸主側の責任として対応を求められる可能性があります。
- 入居前から建物に構造的な欠陥(侵入経路となる隙間や破損)があった場合
- 入居前からすでに巣があり、ネズミが住み着いていた場合
- かじられた配線や建材など、建物自体の修繕が必要になった場合
つまり、「建物側に原因があるかどうか」が判断の分かれ目になります。
築年数が古く明らかに外部とつながる隙間がある、といった状況なら貸主に対応を求める根拠になります。
見つけたらすぐ管理会社に連絡を
費用負担がどちらになるにせよ、発見したら速やかに貸主・管理会社に知らせる必要があります。
借主には、建物に不具合が生じたことを通知する義務があります(民法615条)。
放置すると、配線をかじられて漏電や火災につながる恐れもありますし、「早く言ってくれれば被害が小さくて済んだ」として、かえって自分の立場が不利になることもあります。
連絡するときは、次の情報をまとめて伝えるとスムーズです。
- いつ、どこで、何を見つけたか(実物、糞、かじられた跡、音)
- 頻度(毎晩なのか、数日に一度なのか)
- 建物側で気づいた点(通気口の破損、外壁の隙間、床下の状態など)
- 写真(糞やかじられた箇所を撮っておくと話が早い)
特に最後の「建物側で気づいた点」は重要です。
侵入経路になりそうな箇所を具体的に指摘できると、建物の問題として扱われやすくなります。
実務上は交渉の余地がある
法律上の原則は入居者負担でも、実際には貸主が管理費から費用を出す・折半にする、といった形で落ち着くケースも少なくありません。
建物全体の問題に発展する可能性を考えれば、貸主側にも早期に解決するメリットがあるためです。
まずは状況を正確に伝え、どこまで対応してもらえるかを相談する、という進め方が現実的です。
なお、契約書に害虫・害獣駆除に関する特約が記載されていることもあるので、連絡の前に一度確認しておくとよいでしょう。
連絡と並行してできる応急処置
対応が決まるまでの間、自分でできることもあります。
- 食品を密閉容器に移し、生ゴミを室内に置かない
- シンクの排水口やコンロ周りの隙間をふさぐ
- 段ボールを床に置いたままにしない(巣材になります)
- 目に見える侵入口があれば、金属たわしなどで一時的にふさぐ
粘着シートなどの市販グッズもありますが、捕まえたあとの処理が必要になるので、苦手な場合は無理をせず業者に任せる判断も十分ありです。
まとめ
賃貸でネズミが出た場合、費用負担の原則は入居者側ですが、建物に原因がある場合は貸主の責任になります。
判断が分かれる部分なので、まずは速やかに管理会社へ連絡し、建物側の問題として扱える要素がないかを一緒に確認するのが最善の進め方です。
対処の方法や費用の目安については、別記事「害獣駆除の費用相場と、自分でできる範囲」もあわせて参考にしてくださいね。

よくある質問
自分で業者を呼んでから請求してもいいですか?
事前の相談なしに手配すると、費用負担でもめる原因になります。
緊急性が高い場合を除き、先に管理会社へ連絡し、手配の方法についても確認してから進めてください。
退去時に「ネズミが出た」ことを理由に費用を請求されることはありますか?
入居者の使い方が原因で被害が拡大したと判断された場合には、その可能性があります。
だからこそ、発見した時点で通知した記録を残しておくことが大切です。
※費用負担の判断は個別の契約内容や状況によって異なります。
トラブルになりそうな場合は、自治体の消費生活センターや専門家への相談も検討してください。